マグネトロンスパッタリングコーティングの特性
(3)低エネルギースパッタリング。ターゲットに印加されるカソード電圧が低いため、プラズマはカソード近傍の空間の磁場によって束縛され、基板側面への高エネルギー荷電粒子の衝突が抑制されます。そのため、荷電粒子の衝突による半導体デバイスなどの基板へのダメージは、他のスパッタリング法に比べて低くなります。
(4)基板温度が低い。マグネトロンスパッタリングでは、陰極ターゲットが磁場の作用下にある領域、すなわちターゲットの放電路内の狭い局所領域では電子濃度が高いため、スパッタリング速度が高い。一方、磁場の作用下にある領域外、特に基板表面近傍の磁場から離れた領域では、電子濃度の分散が大幅に低下し、双極子スパッタリングよりも低くなる場合もある(2つの作動ガス圧力の差が1桁大きいため)。したがって、マグネトロンスパッタリング条件下では、基板表面に衝突する電子濃度は通常のダイオードスパッタリングよりもはるかに低く、基板に入射する電子数の減少により基板温度の過度な上昇が回避される。また、マグネトロンスパッタリング法では、マグネトロンスパッタリング装置の陽極を陰極近傍に配置することができ、基板ホルダーも接地せずに懸垂電位とすることができるため、電子は接地された基板ホルダーを通過して陽極から流れ出ることがなく、めっき基板に衝突する高エネルギー電子が低減され、電子による基板の発熱増加が低減され、発熱の原因となる基板への二次電子衝突が大幅に減衰される。
(5)ターゲットのエッチングムラ。従来のマグネトロンスパッタリングターゲットでは、不均一な磁場を使用するため、プラズマが局所的に収束し、ターゲット上の局所的なスパッタリングエッチング速度が大きくなり、結果としてターゲットに大きなエッチングムラが発生します。ターゲットの利用率は通常30%程度です。ターゲット材料の利用率を向上させるには、ターゲット磁場の形状や分布を改善したり、ターゲットカソード内部の磁石の動きを良くしたりするなど、様々な改善策を講じることができます。
磁性材料ターゲットのスパッタリングは困難です。スパッタリングターゲットが高透磁率の材料で作られている場合、磁力線がターゲット内部を直接通過し、磁気短絡現象が発生し、マグネトロン放電が困難になります。空間磁場を生成するために、ターゲット材料内部の磁場を飽和させる、ターゲット内に多くの隙間を残すことで磁気漏れの発生を促進しターゲット温度を上昇させる、ターゲット材料の透磁率を下げるなど、様々な研究が行われてきました。
–この記事は真空コーティング機メーカー広東振華
投稿日時: 2023年12月1日

