結晶シリコン太陽電池向けITO（インジウムスズ酸化物）コーティング技術

インジウムスズ酸化物（ITO）は、高い導電性と優れた光透過性を兼ね備えた、広く使用されている透明導電性酸化物（TCO）です。特に結晶シリコン（c-Si）太陽電池において、透明電極またはコンタクト層として機能し、エネルギー変換効率の向上に重要な役割を果たします。

結晶シリコン太陽電池では、ITOコーティングは主に前面コンタクト層として使用され、生成されたキャリアを収集しながら、可能な限り多くの光を活性シリコン層へ透過させます。この技術は、特にヘテロ接合（HJT）型やバックコンタクト型太陽電池などの高効率セルタイプにおいて大きな注目を集めています。

結晶シリコン太陽電池におけるITOコーティングの利点
高い透明性：

ITO は可視光スペクトルにおいて高い透明度（約 85 ～ 90%）を備えているため、下層のシリコン層でより多くの光が吸収され、エネルギー変換効率が向上します。
低抵抗：

ITOは優れた電気伝導性を備え、シリコン表面からの効率的な電子収集を可能にします。また、低抵抗のため、フロントコンタクト層による電力損失を最小限に抑えることができます。

化学的および機械的安定性:

ITOコーティングは、腐食などの環境劣化に対する優れた耐性を備え、高温や紫外線照射下でも安定しています。これは、過酷な屋外環境に耐えなければならない太陽光発電用途にとって非常に重要です。
表面パッシベーション：

ITO はシリコンの表面を不活性化し、表面再結合を減らして太陽電池の全体的な性能を向上させるのにも役立ちます。